濵田くんと恋を始めたい
私高校3年生、受験生。
金曜日はいつも塾に行ってから帰るから終電で帰るんですよ、そして私は金曜日の終電に必ず乗っているスーツを着た塩顔イケメンに恋をしている。
そして今日は金曜日、あの人に会える!!これこそ華金ってやつだね。
会えるかな~って期待しながら乗ったら今日もいた、いつもと同じ席に座ってる。てか、私まるでストーカーみたいじゃん……
いつもチラチラその人のことを見ている、うとうとしている時もあれば、何か書類を見ている時もある。
今日はなんかいつもより混んでるなぁ~あ、プレミアムフライデーってやつか!酔ってる人多いし。そんなことを考えてたら知らないおじさんが隣にきてすっごい近くに座ってきた。他に席空いてるのに、なんかやだなぁって思ってたら話しかけてきた。「女子高生?こんな遅い時間に危ないよ~?送ってあげようか?」って。お酒臭い、喋んなアホ。って言い返したいのに実際絡まれるとけっこう怖いんだね、
周りの人も見えてるはずなのに見えてないふりする。立ち上がろうとするとおじさんが手首を掴んできた、やめてって言いたいのにやっぱり声が出ない。
「や、め」
『おっちゃん、ここ電車の中やで~?』
「え……」
『みんな見てるで?女の子も嫌がっとるし、な?離そうや』
私の好きな人が、助けてくれた。ヒーローだ。
おじさんは諦めたらしくほかの車両に急ぎ足で行った。
「あ、あのありがとうございました」
『ええよええよ、大丈夫やった?』
「あ、なんとか……笑」
『大丈夫やないよな、手首赤なってる、ごめんなぁ~もっと早く気づいてたらなぁ』
申し訳なさそうな困った顔で謝ってくる。
そうだ、今日は書類に目通してたもん。
『とりあえず座ろか?笑』
それから座って色々話した。
何年生?とか何歳なんですか?とかいつもこの時間なんですか?とか
ヒーローは濵田崇裕さんって名前で25歳兵庫出身。大体いつもこの時間に乗っているみたい。そして笑顔がとっても素敵なこと。笑うと目がなくなるみたい、話す時も人の目を見て話すし聞いてくれる。どうしよう、もっと好きになってきちゃったじゃん!キラキラして見える、
『あ、もう降りる駅や笑〇〇ちゃんは?』
「私はもう一つ先です、今日は本当にありがとうございました!」
『いや!全然かまへん!!ほんまに気ぃつけてな!!』
「ふふ笑気をつけます!」
そんなバイバイの仕方。ある意味あのおっさんに感謝だわ←
月曜日、友達と勉強をした帰り終電に乗ることになった。いるかな、濵田さん!
キョロキョロホームで探しているとトントン、と肩を叩かれた。
『よ!』
「濵田さん!」
『今日月曜やで?珍しいなぁ~』
「友達と勉強してて笑」
『えらいなぁ!!遅い時間までお疲れさん!』
「濵田さんもおつかれさまです!」
濵田さんと話せるのは5駅分。時間だと30分くらい、普段は長く感じるのに今日は短すぎる。もっと話してたいのに!
じゃ、気ぃつけてな!と濵田さんは降りていった。
金曜日(飛ばしすぎ)、塾で恋愛相談をした。私をよく担当してくれる桐山先生に、
「桐山先生、今日は恋愛相談があります!!」
《 え!?ほんま!?〇〇ちゃん恋してんのか!》
「なんか失礼笑いや、そんなことはいんです!発展させたいんです!」
《 好きなやつのこと教えてや、》
「えーと、25歳で社会人で背が高くて優しくて笑うと目がなくなります。あとすごいなで肩で関西弁でちょっとアホです笑」
《 〇〇ちゃんベタ惚れやな~笑ええやつそうやん、で?どう発展させたいん?》
「つ、付き合いたい、です、年下はいやですかね?」
《 そんなんそいつに聞かな分からんで~?》
「どうやって意識してもらったらいい?」
《 〇〇ちゃんの素直なところを活かして素直に接することやな、》
「え~……よく分かんない」
《 そのまんまでええ!ってことや。好きならアタックせぇよ?男は単純やから》
「アタックかぁ……桐山先生彼女さんと何年だっけ?」
《 ん?4年やで》
「素敵すぎる……」
《 上手くいくためには素直でいることやで?駆け引きより素直さやと俺は思うで!》
「私のまんまか……」
《 次の話も楽しみにしてるで?笑》
ヒャッヒャッと笑う桐山先生をみると楽しんでるな、って思った。
駅についてホームに行くと濵田さんがいた。その隣には、綺麗なお姉さん。スラッとしててロングの髪がふわふわしてる人。彼女さんかな……。今日は違う車両に乗ろ、って思っていつも違う列に並んだ。
私失恋したのかな、いや、でもまだ彼女さんって決まったわけじゃないし諦めるのは早いかな…!!桐山先生も素直にって言ってたし。今度会ったら聞いてみよう。
次の週の金曜日、ホームに行くと濵田さんがいた。
「濵田さん!」
『お~〇〇ちゃん!久しぶりやな!先週どうしたん?』
「あ~……あの!先週一緒にいたお姉さんは彼女さんですか?」
『え?笑』
「彼女、なんですか」
『ふふ笑……あの人は俺のお姉さんやで笑』
「え!?!?!」
『彼女やなくてお姉さん笑俺彼女はおらんよ』
「あ~~笑恥ずかしい…。あの、私」
『〇〇ちゃんは彼氏おるん?』
「え、いないです…」
『そうか~…、じゃあ俺の彼女にならん?〇〇ちゃんのこと好きやねん。』
「……!?!?」
びっくりして顔を上げるとニコニコして笑っていた。余裕、きっと私の気持ちに前から気づいてたんだろうな、って。
「なる、なります!お願いします!!」
『よろしくな〇〇ちゃん笑』
「はい!!」
今世界一幸せなのはきっと私だと思えるくらい幸せだ。
「桐山先生!!!」
《 お~!お疲れさん〇〇ちゃん》
塾に来たとき一番に桐山先生に報告しよう、と決めてきた。
「私好きな人と付き合えました…!」
《 ほんま!?うわ~嬉しいけどちょい寂しいわ~笑教え子が旅立つ感じやわ~》
「なんですかそれ笑でも桐山先生のおかげです!素直になるって決めたらなんかイケる気がするって思ったんですよ」
《 そうかそうか~︎☺︎俺も幸せやなぁ~!あ、せや、最近俺の友達も彼女できた~って喜んでたなぁ笑年下だけどしっかりしてて明るくてよく笑う子でかわええって溺愛してたわ》
「めーっちゃ愛されてますねその子笑」
《 はは!笑》
桐山先生めっちゃニヤニヤしてるけどなに?
「なんですか?笑」
《 そのうち分かるで~笑》
「気になって勉強できません!!」
結局教えてくれないままだったけど、ある日出会ってしまった。
『おー!照史!』
「!?!?」
《 こないだぶりやな笑》
桐山先生に!!!!
「な、なんで、知り合い?」
『え?〇〇ちゃん知ってるん?』
「塾の先生……笑」
《 そういうことや2人とも笑》
「なんだ、前言ってたのはこれだったんですね!!」
《 せやで笑ま、2人とも仲良くな~!》
桐山先生は彼女とこれからデートらしくせかせか歩いていった。
ちゃんちゃん!
突然終わる!!!終わり方がよく分からなくなった笑